年に何度かは知りませんが、交通安全週間というものがあります。


回りくどい言い方ですが、そういう習慣が定期的にあることに時々気付くのです。



都内で働いているから気付くんですが、交通安全週間はたぶん10日ぐらい(なぜか2週間より短い)、運動会張りのあのテントが町内会毎に立てられて、ご年配の大先輩が、朝から晩まで一日中、テントの中に座って道路を眺めているんです。

私は西日本の人間ですが、西では見たことはないと思います、ただの田舎者だからかもしれませんが。このご老人がテントの中でパイプ椅子に座って世間話をしながら、幹線道路を眺めている様がなんとも不思議で面白いんですが、このこと自体にはもはや、交通の安全を向上させるだけの意味は読み取れません。

手旗を振って、横断歩道を渡る子供たちを見守るわけでもなく、危ない自転車装甲車に声掛けするわけでもなく、むしろ、ヒッソリとした裏道、山道にたたずむ六地蔵のごとく、その場を見守っているんです。


 わたくしごとき若造にはわかり得ぬ意味や目的が世の中にはごまんとあるあることは承知のため、ちょっとした想像ですが。

おそらく、今の交通事情とはほど遠い遠い昔、交通事故が多発して、交通戦争なる言葉が新聞紙面を飾っていた時代でしょうか?信号機なるものもまだまだ少なく、交通のまさに”整理”を行っていたのは警察官の人力なんて時代にさかのぼるのでは?

大きな道を横切ることは、信号が少なく、横断歩道の整備も至らぬ遠い昔、でも子供達は思い立ったら無茶な横断もするものですから、そこで、近所の主婦たちが道端に登下校時にたむろし、いえ集結して、交通整理を
受け持ったのが生い立ちではないでしょうか?

テントの中のお地蔵さまもとい、ご年配たちはやはり、女性が多く、当時の思い出話に一度は花を咲かせ、後の大半の安全週間はあーでもない、こーでもないのワイドショーネタに花を咲かせているのでしょう、間違いない。


 こんなことをしているのは、絶対に日本しかないと妙な自信がありますが、私はこういう類の活動は効率や合理性などというつまらない理由でなくしては決していけないと思います。テントを張ってパイプ椅子に座るだけ、お茶が飲みたければ、ペットボトルのものでなく、ご年配方は何処からともなく急須と湯呑を持ち寄るようなもので、お金もかからず、むしろ、交通安全を超えた地域のコミュニティーと化しているはず。

それが半年に一度でも行われれば、あら元気?病気はどう?最近はどこぞが悪くなって、あの薬がいいとか悪いとかで話に花が咲くなら、交通安全以上の役目があるものです。なんでもお金と”危ない”で消えてなくなるこのご時世、こういう、得体の知れない無形文化財は絶対に残すべきなんです。

気が付けば、何年後かにあのテントの中に自分がいるかもしれませんしね。


 あのほほえましいお地蔵さまを見ると、季節が変わったなと思いつつ、ネズミ捕りに気を付けないと!などど、少し交通安全の意識が上がるんです。

一旦停止は一旦止まれですし、ちょっとアクセルを我慢して、信号を一つ待とうと思うんですよ。それだけでもこの活動の意味はあるし、やっぱりお地蔵さんですよね、衆生を優しく見守り、導いてくれるんですから。


 ところで、安全の促す立て札に書いてある標語がどうしても気になって、耳に残るんです。確か、”免許証を返す勇気が事故防ぐ”だったと思うんですが、この標語の横にお地蔵さまが座っていることがシュールで。

あの方たちは果たして返却されているんでしょうか・・・中には絶対、”馬鹿言ってんじゃねーよ”っておじちゃんが何人かいるはずですがね。

でも、これが当たり前の様で、身の程をわきまえて返却しなさい!!っていうこの風潮もなぜかしっくりこないですね。

免許証って運転許可書だけでなく、身分証明書であり、車を保有している人も当然いるし、ご年配の方でもさっそうと運転されている様を見るにつけて、これを無下に取り上げようとする社会的な圧力は許されるのかと考えものですね。

もちろん、統計的な根拠はばっちりなでしょう、年齢が上がるにつれて事故が増え、その件数や被害額たるや看過できない状況なのかもしれません。

でもだからと言って、危険因子として取り扱い有無を言わさず、権利を取り上げようとするのには違和感があります。

若者の運転はどうなんでしょうか?高齢者と若年者についてはその事故の発生件数と被害の大きさが比較されることも多いのではないでしょうか。

若者は大きな事故になりやすく、被害も大きいのではと想像します。

なぜ、若者は制約がかからず、高齢者だけなのでしょうか。合理的な様で、倫理的ではないと思います、この違いは。っと、最後に不快感を抱いたので一言もの申してみました。


 大丈夫です、後10年もすれば、自動運転が始まり、20年後には普通乗用車の運転免許証は使用禁止、30年後は運転はお金持ちの贅沢になっているかもしれませんよ。

小型セスナ機の運転の様なものになるかもしれませんね、時々不時着してるのと重なってイメージが重なってきました・・・