地下鉄の駅を地上に出たら、白いスティックを左右に振りながら点字ブロックの上を歩く方がいました。年の頃は20歳中頃の女性で、結構歩くペースは速いんです。

何なら、目が見えてるんじゃないの?と思える雰囲気が出てるんですよね、周りへの注意力が鋭いというか、あまり不安げになく歩いていました。

 杖を突いたご老人もよく見かけます。あの方たちは障がい者とは言わないんですよね。

若かりしときは、その杖がどれだけ役に立つんだろうかと本気で考えていましたが、今は違います。どのぐらい役に立つかは私にはわかりませんが、ものすごく役に立つんだろうなと、ご本人にとっては。車いすの若い女性もいました。

30代前半でしょうか。すれ違う私に、何か恥ずかしそうな、居心地が悪そうな雰囲気がありましたが、たぶん往来する歩道の幅が狭かったからでしょう、私が道を譲るか心配だったんだろうなと思いました。

 今年はオリンピックイヤーですが、パラリンピックも注目が高いようです。実際に見てみると、知らない競技ばかりなのと、四肢障がい者等は痛々しく思えてしまう私がいます。

なんと傲慢なと自己嫌悪に陥りますが、一方でここまではっきりと身体障がい者を普段の生活で見たことがないからかなと思ったりもします。世の中には身体だけでなく、精神障がい者の方もいます。

近くの農産物販売所では障がい者の焼いたパンを売っていて、よく買います、クルミパンを。

 子供の頃は、家の近くに障がい者学校がありました。近くと言っても2階の窓から遠くに見えるこんもりしたうっそうとした緑の丘の上に学校がたっていました。

学校の地図や、道路標識でそれが障がい者のものと知るんです。それ以降はそれ以上の関心も接点もないんです、自分の子供が生まれるぐらいまでは。

 今は違います、考え方は。明日は車いすかもしれないし、目が悪くなれば、視覚障害も自分におこるかもしれません。