子供はいくつになっても、何かストレスを感じた時に黙り込んでしまします。

 勉強をしていて、楽しそうにすらすら問題を解いていたのに急に手が止まって1分、どうしたの?と言っても答えを返してくれるときはよいのですが、黙り込んでしますことがあります。

 家事の手伝いをしっかりさせるのは私はしつけとして、人の成長として大切な事だと思います。手伝いは家事のテクニックを学ぶだけでなく、家族と言う最小限のグループでの作業分担や効率的な作業のやり方など様々なことを教えてくれますし、一緒に洗濯物をたたむこともいつか必ず思い出になるはずです。ところが、いつも頼んでいた料理の手伝いであっても、頼んだはいいがふて腐れているようで黙り込んでしまうことがあります。
 大人でもそうですが、子供も感情的な反応を見せた時は何を自分が感じて起こっているのか、何をイライラしているのかわからない時もあります。言葉にできない焦りや不安もあります。これを紐解いて、「○○だから嫌なんだよね」とか「××がやってくれないのが我慢できないのかな」など、親が子供の言葉を捕捉しながら気持ちを”文字化”してあげることが非常に重要です。

 この文字化の過程が親力として非常に大切で、こういった負の感情に上手に対処することのできる人間となるか否かの境目になるのではないでしょうか。こういう時は、私自身の成長にもつながることと、親子レベルが一つ上がるチャンスです。お父さんと子供の関係は今現在であっても希薄なもので、何が父親として求められているのか、どうあるべきなのかなどと考える男性は少ない気がします。昔ながらの気合論で、背中を見せておけば、堂々としておけばなどと進化していないように思います。

 私は父親も、自分の言葉で何が大切なのか、何を大切だと考えるのか、自分がどうしてほしいのかをしっかり子供と対等な立場で、目を見て事あるごとに伝えることが必要だと考えています。子供は父親の心をおもんばかって、背中を見て成長するわけではありません。それは二十歳を過ぎて社会に出た後に何となく感じる事であって、一つ一つの出来事から何を学ぶかはやはり言葉であり、スキンシップであり、時間や体験の共有そのものです。

 せっかくのチャンスであるために、意識していることが幾つかあります。大人の私でさえ、こういう時にはやはり冷静に注意事項を意識しなければ、子供同士の感情のぶつけ合いになりかねません。

  • しっかり時間をかけて気持ちの整理をすること

 子供は言葉にすらならない心のもやもやを抱えていて、自分がなぜ涙を流しているのか、黙り込んでいるのかがわからないのです。その整理のためには子供のペースで話をしてあげる事、そうするためにはしっかり時間をかけることが大切です。言語化の過程で心の整理の仕方を子供は学び、父親への信頼を高めてくれるはずです。


  • 決して怒らないこと

 ことがことなので、笑顔は必要ないと思いますが、イライラしたりせかしたりすることなく、親身に話を聞いてるんだよ、話を聞きたいんだよという気持ちを伝えることが重要です。子供は怖いのが嫌いです。起こっている大人が一番嫌いです。真剣に話を聞くからこそ、起こっている様に見えてしまうこともあるので、そこは気を付ける必要があります。


  • どうしたの、言ってごらん、わからないよはあまり言わない

 これを聞き出すのが目的です。こういう類の言葉は親の気持ちです。わからないことが親にとって不安なのであって、そのために解決できないよと言いたいだけです。子供は何を言っていいのかわからないところにこういった投げかけをされると混乱が大きくなるはずです。ここは、発生事象を考えながら「○○が悪いのかな」「××としてほしかったの?」と簡単な質問をいくつかぶつけて当ててみるしかありません。子供は素直なので、当たっていればうんと言うし、うんと言えば自分の言葉で説明し始めます。時に何を言っても外れるときは、時間を空けてまた教えてねと一旦区切りを入れるのも選択肢だと思います。時間が経って興味が薄れているようであれば深追いは不要かもしれません。


  • 子供の意見は一旦受け入れて否定しない

 せかく引き出した子供の気持ちは善悪の判断は不要です。こういうことがあってこうだったから、こんな気持ちになったということを丁寧に紐解いていく事が出来たことが大切な成果です。大人の価値観でそれは相手が正しいとかどうとかを”すぐに”言い出すのはしばらく時間が経ってからでよいはずです。そうしないと、次から素直に気持ちを教えてくれないかもしれません。親子関係が遠のくのは残念です。パパは話を聞いてくれる、気持ちを理解してくれる、怒らないと思わせるのが大切です。


  •  手短に

 気持ちを引き出したら、説教じみた解説をしたり、話を膨らませて過去の出来事と結び付けたりしないようにしています。話が終わったら、何事もなかったように次のことを始める他方がよいです。子供は気持ちの整理が出来ればそこに執着することはないですし、ケロッとしているものです。一方で、整理してあげた気持ちから反省点を考えたり、父親への感謝の気持ちも持つ広がりも歳を重ねると持つようになります。


 子供はプライドが高く、すぐに心がねじれてしますので、兄弟が近くにいる場合は場所を変えること、兄弟やほかの家族には秘密にしておくなどのプライバシーにも気を遣うと、よりオープンに心を開いてくれるはずです。最後にギュッとハグしてスキンシップを高めると親子関係のレベルが一つ上がるはずです。結局こういう一つ一つの積み重ねが、子供の目線にたつとか、子供を一人の人間として捉えるという具体的な内容だと思います。これが愛情であって、母親にしか出来ない事では決してありません。論理的に物事を解決する父親としてのアプローチがあると、子供の感情コントロール力も向上するかもしれません。


 こういうことをするのは大人側にも大変な労力が要ります。平日の夕方の忙しい時に30分このことに時間をかけるかどうかが大切です。私はこういうことが大切だと考える様になりました。親子のこういう会話が出来る時間は小学校までの10年程度ではないでしょうか。


人生は何度でもやり直しが出来ると言いまし、そうだと思います。でも、この10年の間の親子の心のつながりは取り戻すことは出来ません。10代、20代になってからこういう話を始めようとしても親子の距離が遠くてなかなか近づくことは出来ないでしょう。


 こういう時間は特に大切にすることで、仲良くいろんなことが話し合える親子となると信じています。